- 【相続放棄のイメージ】
相続人になった方が『自分は何もいらないから』とういう理由で家庭裁判所に『相続放棄』をする場合があります。
放棄というその言葉のイメージから、安易に考え行動をしてしまったのです。よかれと思って手続きをした相続放棄が大きな面倒を生んでしまった例をご紹介します。
- 【安易な相続放棄にご注意】
法定相続人は、先順位の人が相続放棄をした場合、次順位に回ってきます。下記の相続関係図をみていきましょう。
四男が亡くなった場合の相続人は妻と母の2人です。(父は四男より先に亡くなっています。)
この場合に、母が『私は何もいらないから嫁に全財産がいくように』と考え、放棄をしたら、相続人は妻1人だけになるでしょうか。
そうではありません。
第二順位の母の放棄によって、第三順位の兄3人に相続権が移ってしまいます。これにより相続人は、四男の妻と長男、次男、三男の計4人になり、遺産分割の話し合いは逆に複雑になりました。
- 【放棄はせずに遺産分割協議で】
ではどうすれば良かったのでしょうか?母は相続放棄はせずに、全財産を四男の妻に相続させる内容の遺産分割協議書を作り、妻と母が実印を押せば、全財産は妻のものとなったのです。
よく「放棄」という言葉を使いますが、家庭裁判所での「相続放棄」をする場合は、慎重に判断する必要があります。