相続手続きは、①遺言書の有無の確認→②誰が相続人であるかの確認→③財産目録の作成→④遺産分割協議書の作成(遺言書がない場合)→⑤相続登記・各種名義変更→相続税の申告納税(相続財産の規模が一定以上の場合)・・・・というステップを経て進められていきます。
今回は、「②誰が相続人であるかの確認」にスポットを当てて考えてみたいと思います。
ご主人を亡くした奥さんが「ウチは子供は息子ひとりだけだから、私とあわせて相続人は2人です」とおっしゃっていたとしても、それを客観的に証明するためには、ご主人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を集める必要があります。そして、収集した戸籍謄本を精査する中で、想定外の相続人が出てくるケースもあるのです。
Aさんは港区内の戸建て住宅でお母様と2人で暮らしていましたが、今般、お母様が亡くなったことから、ワンパック相続のご相談にいらっしゃいました。相続人は自分ひとりだけだと信じて疑わなかったAさんですが、お母さまの戸籍謄本を集める中で、実は、もうひとりの相続人Bさんがいることが判明しました。Bさんは、お母様が若い頃、婚姻関係のない男性との間の子供で、栃木県内に住んでいることがわかりました。Aさんにとっては異父兄にあたります。
困ったのはAさんです。Aさんは心臓が悪く、従事できる仕事が限られているため、今後の人生を送るにあたって、お母様の遺産を当てにしていました。お母様の遺産は、自宅不動産約2,000万円と預貯金約3,000万円です。これに対し、相続人はAさん、Bさんの2人。法定相続分は、それぞれ1/2ずつです。自宅不動産はAさんが相続する前提で、法定相続分に従い遺産分割を行うと、Bさんは預貯金2,500万円を相続することになり、Aさんの手元には500万円しか残らなくなってしまいます。
Aさんは当然ながらBさんと面識がありません。Bさんの住所を調べ、東京で面談する運びとなりましたが、不安でいっぱいです。「どういう人なんだろう?法定相続分を主張されたらどうしよう・・・」
実際に会ってみると、Bさんは大変紳士的な人で、Aさんの事情も十分理解した上で、預貯金300万円のみをBさんが相続し、自宅不動産を含む残りの遺産はAさんが相続する内容の遺産分割協議が整いました。
ただでさえ、複雑で大変な相続手続き。それに輪をかけるように、Aさんの事例のようなイレギュラーを伴うケースも多々見受けられます。どこから手を付ければ良いのかわからず、時間ばかりが空しく過ぎていく・・・。そんなお悩みを抱えた方がたくさんいます。
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