大山一貴さんは都内の建設会社に勤務しています。久しぶりの長期休暇で実家に帰省した際に、父親との相続の話で気になることがあり、新宿総合会計事務所へご相談にいらっしゃいました。
一貴さんのお父様は、15年ほど前に私財を注ぎ込んで起業されましたが、会社の事業がうまくまわらずに、現在は休眠状態です。一貴さんは毎年、わずかな管理報酬だけがあるだけなので、相続には何も影響がないと考えていましたが、お父様は会社に2億円貸し付けたままとなっており、相続財産の対象になるのではと心配されたご様子でした。
非上場会社のオーナー様からご相談いただく相続財産の悩みは、大きく2つあります。一つは、会社の業績が好調なときに、オーナーも知らない間に会社の株価が高騰しているということ。もう一つは、創業期などで会社に個人的に貸し付けされている金銭が、相続財産に残ってしまうということです。会社の業績に関わらず会社へ貸付金がある場合は、その貸付金への相続対策が必要になります。
一貴さんは平日のご勤務が忙しく、周りにもなかなか相談できる相手もいないことから、新宿総合会計事務所で「ワンパック相続対策」を依頼することにしました。今回の一貴さんのケースでは、お父様の会社の株価評価や事業承継等の問題も出てくる可能性があるため、相続だけではない、包括的な相談ができる先を探していらっしゃったようです。
相続のためにお父様の会社の財務状況を確認しながら、いろいろと検討を重ねた結果、お父様の会社の業績が落ち込んでいたことから、会社への債務免除をお父様へ打診してもらうことにしました。
債務免除とは債権者がその権利を放棄することで債務者の債務が免除されることを指します。一貴さんのお父様の会社のケースでは、会社への貸付金で2億円の債権を持っている父親が、「そのお金を返済しなくてよい」ということで債権放棄(一定の書面を準備することが必要)をすることで、会社側はその支払いが免除されます。
しかし同時に、会社側では2億円を払う必要がなくなり、経済的利益を受けたということで収益を計上する必要があります。そのため、会社には2億円もの利益が急に発生するわけですが、会社側に今までの損失が積み重なった繰越欠損金があれば利益と相殺することが可能です。
一貴さんのお父様の会社を調べてみると、会社の欠損金が2億円あり、貸付金と同程度あると分かりましたので、その金額を相殺して会社への貸付金を消滅させました。また、同時に一貴さんにとって、相続財産も2億円減少することになりました。
今回のケースでは、お父様とお話をされてから早急にご相談をいただいたため、お父様の相続開始前に債権放棄という形で会社への貸付金を消滅させることができました。ワンパック相続対策では、株価評価のみならず新宿総合会計事務所が持つノウハウをご提供することが出来ますので、安心してお任せいただけます。
後日談として、お父様の会社は新宿総合会計事務所を顧問税理士として選任していただき、会社のサポートをさせていただくことになりました。