相続の知恵袋Archives
相続の現場シリーズ⑩

生前贈与の計上漏れ

今回、ご相談にいらっしゃったのは古田大輔さん。大輔さんは90歳になられたお父様を亡くされたばかりですが、相続に関して気がかりなことがあるということでご相談にいらっしゃいました。

相続人は長男である大輔さん(55歳)と、次男の浩二さん(50歳)です。大輔さんと浩二さんは仲が悪かったものの、相続では揉めたくないという意見は一致しており、相続税申告については協力する姿勢を見せていました。

しかし、大輔さんには気がかりなことが一点ありました。生前にお父様は、浩二さんへ資金援助をしていた覚えがあり、その資金援助が贈与に当たり、相続に影響があるのではと感じていました。大輔さんは「生前贈与」という言葉は知っていたものの、それ以外の知識がなかったために、色々とインターネットで調べてみると「相続時精算課税」という制度があると分かりました。

「相続時精算課税」とは、税務署への届出を条件に、2500万円までの贈与に対する贈与税が一旦かからない制度です。そして、相続が発生したときに今まで贈与された精算課税の対象となった財産を、相続財産に含めて相続税を計算するという仕組みです。こちらは一見節税のようですが、実質的には課税の先送りとなっている制度です。

大輔さんは、浩二さんがお父様からの資金援助として受けていた、精算課税贈与部分を計上せずに相続税を計算して申告してしまうと、税務署から必ず指摘を受けると聞いていました。そうなると、過少申告加算税、延滞税などのペナルティを負担しなければなりません。そこで新宿総合会計事務所に、次男の浩二さんが父親から生前に贈与を受けている可能性があることを話し、どのように進めればいいかを相談しました。実態の把握のために私達は「贈与税の申告内容の開示請求」という手続きを勧めました。この「贈与税の申告内容の開示請求」は、所定の書面を整えて税務署に開示請求をすれば、浩二さんの過去の相続時精算課税の実態を開示するものです。

その結果、浩二さんは2500万円の相続時精算課税を受けていましたが、これを大輔さんに話してしまうことで、遺産分割で不利に働くと考え、聞かれるまで答えないでいるつもりでいたようでした。お父様からの資金援助を受け、相続時精算課税を大輔さんに言い出さなかった浩二さんに対して、兄弟の仲が悪くなった原因が自分にもあり、父親の死をきっかけに兄弟やり直そうという気持ちも伝え、大輔さんは浩二さんを責めませんでした。そして、過去の兄弟間の問題も気持ちの上では清算され、相続時精算課税を含めた遺産分割も無事にまとまり、新たな二人のスタートとなる相続となりました。

新宿総合会計事務所のワンパック相続では、生前贈与の計上漏れがないように配慮されているため、追徴課税、延滞税などの余計なペナルティを支払うリスクが減ります。相続の手続きは不安なことが多いかと思いますが、私共では少しでも気になる心配事を共有させていただき、納得の上安心いただいて相続を完了させられるようサポートいたします。

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