- 【今、遺言が注目されている】
自分の死亡後、家族が遺産分割をめぐって争うのを防ぐために《遺言》が注目されています。
遺産相続をめぐる争いは、年々増加しており、これと連動するように遺言書の作成件数も増加の一途をたどっています。
自分の家には財産がないから、相続争いなんて関係ないと考えている方がほとんどだと思いますが、相続争いの7割以上は遺産が5,000万円以下のケースで起きていることをみると、財産の多寡には関係ないと言えます。
- 【自筆証書遺言と公正証書遺言】
遺言には主として「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。
公正証書遺言は裁判官や検察官などを経験した公証人が遺言者から内容を聞いて公正証書にまとめ公証役場に保管されますので、変造・紛失や無効になる恐れがありません。
一方、自筆証書遺言は遺言者が自由に書けますが、全文を自筆で書かなければならず、要件不備で無効になったり、内容が曖昧で争いの種になる場合があります。
また、相続発生後に、家庭裁判所に「検認」という存在確認の手続きを求める必要があります。
- 【自筆証書遺言の方式緩和】
2018年7月に民法が改正され、「自筆証書遺言」の方式が緩和されました。
従来通り、全文、日付、氏名を自書し、押印する要件に変わりはありませんが、遺言書と一緒に相続財産の目録を添付する場合には、その目録は自書しなくてもよいことになりました。
例えば、パソコンで作成した明細や、不動産の登記簿謄本、預貯金通帳の写し等を目録として添付できます。
その場合、偽造、変造を防ぐため、各ページに遺言者の署名・押印が必要です。この方式は、2019年1月13日以降の遺言書作成分から施行されています。
- 【自筆証書遺言の法務局での保管制度創設】
従来は「自筆証書遺言」の保管場所は自宅などでしたが、法務局で保管する制度が創設され、2020年7月10日から施行される予定です。
この制度を使うと、相続発生後に家庭裁判所で行う「検認」の手続きが不要とされます。
ただし、保管費用がかかります(金額は未定)