ひげ所長のひとりごとArchives

2023年3月 March

現在確定申告の真っ只中です。会計事務所の宿命とはいえ、1年の中で一番ハードで気が重い時期です。私自身、申告書を作成することはさすがにありませんが申告書の最終チェックという大事な仕事があります。チェックしているといろいろ世相が見えてきます。日経平均が高い年は有価証券の申告が多かったりコロナ禍の昨今は医療費控除が…。
ここ数年増えてきているのはふるさと納税です。ざっくりですが、SGAで確定申告をお受けしているお客様の約半数がふるさと納税をなさっている感じです。しかもかなりの数の自治体へ寄附なさっていらっしゃる方がほとんどで、続けているうちに徐々にエスカレートしていくんでしょうね。皆さんご承知の通り、ふるさと納税は自分で選んで自治体に寄附をすると所得税や住民税が控除される制度です。実質2,000円の負担で地域の特産物を返礼品として受け取れるお得感と、年末にしつこくテレビCMが流れることで年々利用者が増えてきました。貴乃花の歌声が耳について困るという方も多いのではないでしょうか(笑)。
2008年から始まったふるさと納税が目指したものは都市と地方の税収格差を縮めることだったはず。国民からすれば自分や親の出身地の町だったり、自然災害の被災地に寄附できることだったはず。いつからか自治体・事業者・個人の全てがこの制度に参加しなければ損をする競争に巻き込まれてしまったと言えるのは、近年都市部の自治体も返礼品に力を入れるようになったことからもわかります。実際のところ宣伝費も発送費も自治体持ちで、税金で特産品を買い支えているといっても過言ではないと思います。寄附とは名ばかりで私自身ふるさと納税は一切やっていませんでした。
ところがです!とうとう誘惑に負けてしまいました(苦笑)。昨年の暮、湯河原にあるゴルフ場に出掛けた折、売店横に見慣れぬ一台の自販機がありました。気になって近づいてみると、なんとふるさと納税の自販機でした。「湯河原C.C 3,000円ギフト券 寄附額10,000円」という具合で6,000円9,000円…のギフト券が販売されていました。クレジットカードと免許証があれば即購入可能ということでついつい手を出しプレイ代の支払に使ってしまいました(笑)。
自販機まで出てくるとふるさと納税の利用者は増え続け、高所得者ほど利益を得られる設計の見直しも困難で、もう後戻りできないところまできています。私自身一度は誘惑に負けてしまいましたが、これからも微力ながら抵抗を続けていこうと考えています(汗)。

2023年2月 February

ユニクロが3月から国内正社員約8,400人に対して最大40%の大幅な賃上げを実施するというニュースがありました。ユニクロに就職すれば良かったと悔やんでいる若手サラリーマンも多いと思います(笑)。おやっと思ったのはユニクロの国内における従業員は4万人は下らないはず。とすると残りの約3万人は非正社員?
昨今皆さんご承知の通り円安、資源高等を原因に諸物価が高騰しています。それを受けて大企業が賃上げを次々と口にしだしました。あんなに内部留保に熱心だったのに今さら何なの?賃上げが他社に遅れると優秀な人材が採れないから?賃上げして世に金を廻していかないと値上げした自社の製品やサービスが売れないから…?
賃上げに反対しているわけではありません。大賛成です。だけど…。日本の雇用の7割は中小零細企業です。大企業のように簡単に賃上げができません。何故なら売上が一定しないからです。さらにニッチな分野や、大企業の下請けを生業にしている企業が大半で価格転嫁や取引条件の改善が難しいからです。
いまNHKの朝ドラ「舞いあがれ!」は大阪の従業員20~30人程度のネジ製造会社が舞台です。景気や元請け先に翻弄される零細企業の悲哀がよく描かれています。今般の大企業中心の賃上げで以前から認識され続けていた「格差社会」の格差が拡大へ向かうと思います。いい例が冒頭のユニクロです。社員と非社員の賃金格差は一気に広がります。
この3年間はコロナ禍で日本の国民も多大な影響を受けました。しかし、一様に受けたかというとそうではありません。最も被害が大きかったのは「不要不急のもの」を扱う小売店や飲食店です。さらにこういったところで働いていた非正規労働者も同様に。一方会社組織に守られている大企業の社員は、残業代は減ったかもしれませんが報酬は維持されています。このようにコロナ禍も格差拡大に拍車をかけています。
今や5人に1人が私立中学に進学しているそうです。自身の努力とは無関係に、出自や教育環境で将来が決まってしまう「階級社会」へ移りつつあるのかもしれませんね。将来の大きな火種にならなきゃいいんだけれど…。

2023年1月 January

新年おめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。本年も宜しく御願い申し上げます。
年末はサッカーW杯で日本国中が大いに盛り上がりました。日本がベスト8をかけPK戦で敗れたクロアチアが3位に輝いたということは、日本にはベスト4に残れる程の実力が備わっているということでしょうか。PK戦にテクニック的なものはもちろん重要ですが最後はメンタルだと思います。
私はピンチの時に思い出す言葉があります。「死なんと戦えば生き、生きんと戦えば必ず死するものなり」上杉謙信の言葉です。なんどきも心の持ちようが大事です。
さて、コロナ禍でほとんどの行事を中止せざるを得なかった一昨年。それに引き換え昨年は慰安旅行・ゴルフコンペ・望年会etcと全ての行事をコロナ対策の工夫をしながらも実施できたことは大きな喜びでした。とりわけ12月7日の第21回SGA望年会は異業種交流会中心の従来のスタイルをガラリと変えたSGAとしては初めての試みでした。
全国では400万社ある企業のうち(99.7%は中小企業)、経営者が70歳以上である企業は全体の約3割、120万社です。これらの企業が事業承継を行えないと日本は立ち行かなくなります。現に毎年5万社が休・廃業を余儀なくされています。SGAのお客様の中にも代表者がご高齢の会社が数多くあり、スムーズな代替りのサポートはSGAの使命であるとかねてより考えています。
その一環で「事業承継セミナー&パネルディスカッション」を望年会として開催しました。後継者対策に悩みを抱えていらっしゃるであろうお客様には直接ご招待状をお送りし、定員一杯ご参加いただきました。
私は平成6年12月にSGAを立ち上げてから早いもので30年近く経とうとしています。気が付けば私自身、事業承継を考えなければならない歳になっていました。皆様と同じ立場、目線で取り組んでまいる所存です。
最後となりましたが皆様のご多幸とご健勝を祈念申し上げます。

2022年12月 December

9月、私の誕生日にプレゼントと花束が届きました。
花束はとてもきれいな青い色をしたバラです。添えられていたのは私が喜びそうな(笑)内容のメッセージ。SGAを過去に退職した7人からのものでした。それぞれ入・退職の時期はバラバラでしたが、いまだに付き合いがあるんだとちょっと意外でした。私はプレゼントや花束以上に、退職した今も彼等が私のことを気にかけてくれていたことが何より嬉しく感じました。
SGAがスタートしてかれこれ30年近く。数え切れないほどの人が入職し、又退職していきました。その中には独立して会計事務所を開いている人も少なからずいます。彼等に対しては同業者としてリスペクトしてもらいたいというきれいごとではなく、圧倒的な強さを見せつけたいという大人げない気持ちでSGAをここまで引っ張ってきた気がします。それはあくまでも心の持ちようであって、実際は独立時に得意先の一部を分けてあげたり独立後は仕事を回したり、きれいなやめ方をした人には精一杯応援してきたつもりです。念の為に(笑)。
話を元に戻します。プレゼントをくれた7人には何かお返しをと考えたのですが久しぶりに顔もみたかったし、近況も聞きたかったので、食事会を開くことにしました。
3年前に独立して事務所を開業しているSさんに幹事を頼みました。結果、いま人気のスカイツリー下のグランピングバーベキューに皆で集合することに。どこでもいいと言った手前文句は言えないのですが、10月下旬にも関わらず真冬のような強い寒風が吹きすさぶ夜でした。風邪を引いてもつまらないので、私はテントの中にこもったまま。かわるがわるコンロで焼いた料理をテントの中に運んでくれるのは有難いのですが、皆とゆっくり話をすることはかないませんでした。いまさらですが、後学の為、皆に本当の退職理由を聞いてもみたかったのですが・・・。もし将来同じような機会があったら、店は自分で選ぼうと思っています(笑)。
聞けば7人中3人が独立して会計事務所を開業し、また2人は会計事務所に勤務していることが分かりました。他の仕事がやりたくてやめたんじゃなかったっけ?スタッフが退職する時「SGAにいればいいのに。将来絶対苦労するぞ。」と心の中で彼等の将来を案じて送り出していました。ふと、「元気にやっているのだろうか」と誰とはなしに思い出すことがあります。しかしそれが杞憂だったことがよくわかりました。
何故なら皆幸せそうでしたし、しかもほとんどが結局また会計の仕事に就いていたからです(苦笑)。

2022年11月 November

研修旅行で京都に行って参りました。
令和に入って初めての研修旅行です。3年前、瀬戸内国際芸術祭に合わせて小豆島方面へ企画したものの大型台風19号の直撃で催行不能に。その後2年間はコロナ禍により断念せざるを得ない状況が続いていました。
研修旅行である以上テーマが大事です。今回は「新しい京都と古いままの京都」。世にあるもの、とりわけビジネスの世界では時の流れに取り残されると生き残っていけません。皆には旅を通じて、新旧が交錯する京都を感じとってもらうとともに、私自身としては1泊2日に短縮した分(従来は2泊3日)非日常を味わってもらいたいと考えていました。
例えば新幹線での往復はグリーン車を使いました。座席の質感、車内の雰囲気、空気感、実際に乗ってみないと分からないものです。片道プラス4,000円の価値が見い出せたかどうか…(笑)。ホテルは一昨年にできたばかりの五つ星ホテル「ホテルザ三井京都」。部屋の作りはさることながらガーデンビューの部屋が売りだけに、中庭が京都の現代美をかもしだしていて素晴らしいものでした。部屋の窓からは中庭をはさんで向こう側の部屋がまる見えでカーテンを閉めざるを得なかったのが難点でしたけど…(苦笑)。
ところで今回のテーマについて象徴的だったのは食事の時です。夕食は木屋町の鴨川沿いにある「ルアン鮒鶴」。大正14年(1925年)に建てられた五層四階建ての巨大な木造建築。一度に200名の宴会ができる大広間をようする料亭旅館でした。バブルがはじけ団体旅行が下火となり2007年一旦閉店したものの、オーナーが代わり今の形態で再オープンしたものです。登録有形文化財の建物そのままにフレンチを融合させ、人気レストランとして見事に生まれ変わりました。
一方2回の昼食は初日「瓢亭別館」二日目「嵐山熊彦」と100年の歴史を誇る老舗料亭です。昔ながらの京建物(使いやすく椅子とテーブルにしてありました)に京食材をふんだんに使った会席料理。熊彦では大女将が最後まで女性スタッフ達と共にサービスして下さいました。数十年前に来たとしても数十年後に行ったとしても同じ光景が繰り広げられるのでしょうね。
SGAも激変の時代に生き残りをかけて変わっていかなければなりません。一方残しておくべき部分もあるわけで、それをしっかりと見極めなくてはと感じさせられた旅行でした。

2022年10月 October

暦年贈与の110万円非課税枠が廃止になるかもしれません。
理由は格差の固定・拡大の防止です。子や孫等に対しての贈与が1人につき年間「110万円」までなら何度でも非課税となる制度ですが、最もポピュラーな相続対策なので皆様もよくご存知だと思います。たったの110万円かと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、例えばお子さんやお孫さん合わせて5人に贈与すれば550万円。これを10年続けると5500万円をお子さん達に移転させることができ、相続税の節税に役立ちます。なので皆さんお早めに。
ここまでは税理士としてのトークです(笑)。私個人としてはあまりお勧めしていません。私の知人でプチ資産家のAさんの話。奥さんに先立たれ、すっかり気弱になってしまったAさん。しかし、二人の子供達が一人暮らしになってしまったAさんの面倒をよくみてくれます。この先自分が亡くなってしまったら、この二人は相続税で苦しむのではないかと心配になってきました。Aさんは多少の税金を払ってでもと所有していたアパートのみならず自身が住んでいた自宅まで子供達に贈与してしまいました。
その結果Aさんはどうなったと思いますか?あんなに頻繁にAさんのもとに足を運んでくれた子供達はピタリとAさんの前に姿をみせなくなってしまいました。Aさんは私に「先に渡すんじゃなかった!」その後悔はどれほどだったでしょう。子供達に看取られることもなく、一人寂しくこの世を去りました。Aさんが恩着せがましく子供達に接していてそれが嫌で寄り付かなくなったのかもしれませんね。これは極端な例かもしれませんが、こういった類の話はいくらでもあります。
私がいいたいのは、子供達が負担しなければならない相続税は、親から相続した財産よりも絶対に多くはならないということです。子供達が汗水流して貯めたお金で支払うわけではないのです。当たり前の話です。子供達に渡ったお金は二度と親の元に返ってきません。親が老人施設に入ろうと考え、入居金が足りなくなってもです。これが現実です。親は苦労して稼いだお金を自分の為に使えばいいのです。子供は親がそうだったように自分で稼げばいいのです。
但し、親の財産が先祖からのものである場合、義務として子孫に相続していかなければならないと思います。
孫達が遊びに来てくれたり、見舞いに来てくれたりする都度お小遣いをあげる。疎遠だった孫達もこちらがびっくりするほど足繁く通ってくれるかも(笑)。これが最も平和的な節税方法だと思いますが皆さんどう思われますか?

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