A)相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は小規模宅地特例の対象外とされました。
皆さんおなじみの相続税の優遇税制のひとつ、小規模宅地等の特例(相続税法第69条)。
平成30年の税制改正において適用要件が厳しくなった旨は以前お伝えいたしました。
今回はその特例のなかの不動産賃貸業に供されている宅地等につきましてもう少し深く話をしていきます。
1. 原則
平成30年4月1日以降の相続開始分から、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等はこの小規模宅地特例の対象から除外されることとなりました。
たとえば、平成33年5月6日に貸付事業開始。
2年経過後の平成35年6月に相続開始。
この場合貸付事業開始から相続発生までが期間が3年以内のため、この宅地等については小規模特例の適用は出来ません。
2. 経過措置
平成30年3/31までに新たに始めた貸付用の不動産について、平成30年4/1から平成33年3/31までに相続が発生した場合には、当該不動産については特例適用対象になります。
たとえば、平成30年1月15日に貸付事業開始。
平成32年4月15日相続開始。
この場合貸付事業開始から相続開始までの期間が3年以内ですが、相続開始が平成30年4/1から平成33年3/31までの間であるので、この宅地等については小規模特例の適用は出来る事となります。
3. 例外
相続開始まで3年を超えて事業的規模で貸付けを行っている者が新たに行う貸付については特例の適用がすべて可能となります。
たとえば、平成20年4月から15室の不動産の賃貸をしており、業務拡大のため、平成30年10月から新たに2室の賃貸事業を開始、その後平成31年4月に相続が生じた場合。
新たな貸付は平成30年10月からのため相続開始までの期間は3年以内となり原則小規模宅地等の適用外。
次に貸付開始が平成30年3/31以降のため2にも該当しません。
しかし以前より不動産業を事業的規模で行っている場合には、例外なく小規模宅地等の適用がされることとなります。
おそらく新規の事業も相続の節税対策というよりも事業拡大の色が濃いための例外と考えられます。