A)所得税の特例の適用要件を満たしていないにもかかわらず、控除対象としてローン控除を適用して処理されていたという誤りです。
今回の誤りは会計検査院からの指摘で判明いたしました。
国税局はこの指摘を受けて過去の申告書の見直しを行った結果、25年から28年分の所得税確定申告書を提出した者のうち、最大で約1万4.500人の申告に誤りがある事が判明しました。
誤りは以下の通りです。
①贈与税の住宅等取得資金の特例を利用したうえでの住宅ローン控除額適用。
ローン控除額は「住宅の取得価額」と「住宅ローンの年末残高」のいずれか低い金額を基に計算しますが、住宅の贈与があった場合には、その住宅取得等資金を「住宅の取得価額等」から差し引かなければなりません。
しかし、この贈与分を差し引かずに住宅ローン控除額を計算していました。
②居住用財産の譲渡に係る3000万円特別控除の特例を利用したうえでの住宅ローン控除適用。
新築や購入した家屋を居住の用に供した年分及びその前後2年分計5年の間、居住用財産の譲渡に係る3.000万円特別控除の特例等を適用した場合には、住宅ローン控除を適用する事は出来ないにもかかわらず控除していました。
③直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課税特例を利用したうえでの住宅ローン控除適用。
この適用を受ける年分の所得税の合計所得金額が2.000万円を超える納税者の場合には適用できないにもかかわらず、この特例を適用していました。
なお、ここで気になるのが間違いがわかって申告書を提出し直す(修正申告書)ことによる加算税・延滞税の取り扱いです。
加算税・延滞税については、納税者自身の申告誤りで生じた不足額は原則、過少申告加算税と延滞税が課せられます。
ただし、自主修正すれば、過少申告加算税は免除されることとなっていますので、もし心当たりのある方は、確認されてはいかがでしょうか?
なお、「年末調整等による住宅借入金等特別控除の2年目以降の不足額」
の扱いについてですが、これは税務署側が発行する住宅ローン控除証明書の内容がそもそも誤りであるため、原則過少申告加算税と延滞税は課せられないと思います。