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不動産所得の損失の扱い

所得税の不動産所得を計算する際、その所得の金額の計算上生じた損失については、他の所得と合算する損益通算という制度があります。例えば、不動産所得の計算上、修繕費が多い年度については、その年度だけ損失が生じることがあります。この場合、不動産所得で生じた損失を事業所得や給与所得と相殺することができます。この相殺することを損益通算と呼びます。不動産所得と給与所得がある方の場合、給与所得者は給与支払いを受ける際に給与額に応じた源泉所得税が徴収されていますので、不動産所得から生じた損失を損益通算することで源泉徴収された所得税が還付されます。

しかし、この不動産所得から生じた損失について、その損失の発生要因によっては他の所得とは損益通算することができない場合があります。具体的には土地を取得するための借入金利子については、その一部について不動産所得の損失に含めないこととなります。例えば、土地2,000万円、家屋1,000万円を自己資金1,000万円、借入金2,000万円で購入し、この土地に係る借入金利子が50万円の場合だと、不動産所得の損失が100万円だった場合には、不動産所得の損失100万円のうち借入金利子50万円について損益通算不可能となり、損益通算できる損失は差額の50万円だけということになります。

この制度が導入されたのが平成3年になりますが、当時は賃貸物件を借入金で購入し、不動産所得で発生した損失を損益通算することで事業所得や給与所得を圧縮して税負担を軽減する節税方法が頻発しており、法改正に至ったという経緯があります。借入利率も現在よりもかなり高い時代だったことから土地取得に係る借入金利子による損失額が税額に与える影響はかなり大きいものがありました。この規定を知らずに土地取得に係る借入金利子をそのまま損失として損益通算しているケースがよく見かけますので、くれぐれもご注意ください。

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