昨年の12月に令和4年度税制改正大綱が発表されました。資産税分野の目玉は相続開始前の暦年贈与の持ち戻し期間の延長に関するものでしたが、具体的な記載はなく見送られることになりました。
そして今回は住宅ローン控除と住宅取得等資金贈与の改正事項を解説します。
まず住宅ローン控除の見直しです。住宅ローン控除とは住宅ローンにより住宅を購入した方について、一定の要件に該当する場合には、毎年の年末残高に一定の控除率を乗じた金額を税額控除できるというものです。住宅の取得をして令和4年から令和7年までの間に居住した場合の住宅ローン控除適用については、控除率を年末残高の1%から0.7%へ引き下げ、そして控除期間がこれまで10年間だったものが3年延長されて13年間になりました。控除率の引き下げについては、これまで実際に負担している借入金利子が控除率よりも低く、逆ザヤが生じていることを踏まえた改正となりました。しかし、令和3年度税制改正で新型コロナウイルスによる対応として、次のいずれかに該当する場合は令和4年以後の居住開始であっても、改正前の規定が適用されます。
①新築住宅の場合は契約締結日が令和3年9月30日まで
②中古住宅の場合は契約締結日が令和3年11月30日まで
この規定による住宅取得を「特別特例取得」と言います。
また、令和4年1月1日以降の居住開始の場合の所得制限が3000万円から2000万円へ引き下げになります。住宅ローン控除については総じて縮小傾向にあります。
次に、住宅取得等資金の贈与の非課税制度に関して見直しがありました。住宅取得等資金の贈与の非課税制度とは父母、祖父母などから住宅を購入するための資金贈与を受けた場合に一定の限度額まで贈与税が非課税となる規定です。この規定は令和3年12月31日に終了する予定でしたが、2年間延長され、令和5年12月31日までとなりました。内容としては非課税限度額が一部縮小されることになり、具体的には耐震、省エネ、バリアフリーの基準を満たす住宅に関して、これまで1500万円だった非課税限度額が1000万円へと引き下げになります。ちなみに、令和3年中の契約であっても、贈与が令和4年中に行われた場合には改正後の非課税限度額が適用されますので注意が必要です。
上記2点は適用要件の検討に慎重を期する必要がありますので、不安な方は専門家に相談なさってください。