遺産分割協議とは、亡くなられた方の相続財産の分割方法について相続人全員で話し合って決めることをいいます。分割協議は、必ず相続人全員で行わなければなりません。もし相続人に未成年者がいる場合は、その代理人の参加も必要となります。相続人が1人でも欠けた状態で行うと、その協議は無効となります。
分割協議を行う前には亡くなられた方の財産を全て洗い出し、相続財産がいくらあるかを確認します。その上で、不動産をどうするか、預金をどうするか、一つずつ取得者を決めていくことになります。
遺産は「法定相続分で取得する」とお考えの方もいらっしゃいますが、分割協議では法定相続分に拘る必要はなく、相続人の内の1人が全て取得することも可能です。
また、相続財産の内訳が不動産が8000万円、預金が100万円といった場合、一人の人が不動産を相続する代わりに他の相続人へ代償金として金銭を支払う、ということも出来ます。相続人間の合意さえ得られれば、分割内容は自由に決めることができるのです。
協議が調えば、あとで問題が起こらないよう、協議の結果を「遺産分割協議書」いう書面に残します。金融機関等は、原則的にはこの遺産分割協議書に基づいて凍結された口座の払出を行います。相続税の申告もこの遺産分割協議書をもとに作成されますので、遺産分割協議書の完成が一連の相続手続きの肝になります。
遺産分割協議書は、相続人全員が実印で押印します。定型の書式はありませんが、亡くなられた方の氏名・生年月日・相続開始日・本籍地・住所を記載し、相続人の内、誰が何を取得するか、協議を行った日など最低限の記載は必要となります。役所や金融機関には分割協議書と印鑑証明をセットにして提出します。
また作成の際は、分割協議書に記載されている財産以外の財産が後日新たに発見された場合についても記載しておくと良いでしょう。「別途協議する」と記載することもできますが「法定相続分で取得する」や「Aが取得する」と定めておくと、万が一何か発見された場合にも遺産分割協議書を再度作成する必要がなくなります。
遺産分割協議書は重要な書類ですから、迷われた場合には専門家へご相談下さい。