相続対策として同族会社に対する貸付金を放棄することがあります。
個人としては、債権放棄により相続財産から貸付金が減額され、法人としては、免除された債務について利益として処理され、法人税等が課せられます。
ここで見過ごされがちな論点がありまして、相続人が同族会社の株式を所有している場合、債務免除による株価上昇部分がみなし贈与になるということです。
会社の株価は、利益が蓄積し、資産が増えると、会社の価値、すなわち株価が上昇します。被相続人が債権放棄したことにより、株価が上昇した部分は、被相続人から相続人に対する贈与として取り扱うことになります。
仮に、相続開始前3年以内に債権放棄による株価上昇部分が認められる場合には、生前贈与加算の対象となり相続財産として計上することになります。
債権放棄額以上の株価上昇が生じることはありませんが、この生前贈与部分を相続財産に含めて税務申告を行わないと、税務調査で修正申告が必要となり、加算税、延滞税を負担することになります。
生前贈与加算の対象期間が3年から7年へ延長されますので、同族会社に対する債権放棄も計画的に実施する必要が出てきました。