これまで相続税申告をした後、相続時精算課税適用財産の加算漏れで修正申告をするケースが散見されていました。
相続時精算課税とは、暦年課税との選択適用になっているものであり、直系尊属からの贈与で2500万円まで贈与税が非課税となり、それを超える部分には一律20%が課せられ、適用を受けた財産については贈与者が死亡した際の相続財産に加算するという制度です。加算漏れの原因の多くが、「失念」、「制度の誤認識」によるものです。この制度が施行されたのは平成15年からになり、20年近く前の贈与について相続人が失念又は相続財産への加算が必要であることを認識していないことが要因です。
そこで、令和4年10月相続開始分から、東京国税局管内の居住者に限り、相続時精算課税制度を適用した財産に関する知らせが、相続税の申告期限の3か月前に送付されることになりました。令和4年10月の相続開始の申告期限は令和5年8月、そこから3か月前になると、早い方は5月頃には届いておられるかもしれません。
この制度の注意点は、相続時精算課税適用者全員に送付されるわけではなく、相続税の申告案内の対象となった被相続人の相続人に対して送付されますので、全てはカバーされていません。
令和6年から相続時精算課税制度について、基礎控除が年間110万円認められることになり、適用者の増加が見込まれることから、東京国税局から新たな試みとしてスタートし、全国に広げていくように思われます。