「遺産分割に期限はあるの?」
お客様からこのようなご質問を頂くことが度々あります。今回はこの点について解説いたします。
1.遺産分割とは
相続が開始されると、故人(被相続人)の財産は法定相続人の共有となります。遺言がない場合、財産の具体的な分配はまだ決まっていません。この状況を解決するため、「遺産分割協議」が行われます。これは、相続人全員が協議を通じて財産の具体的な分配を決定する過程です。合意に至らない場合、家庭裁判所での調停や裁判が必要になることがあります。
2.遺産分割の期限
遺産分割には法的な期限が設定されていません。そのため長期間経過した後でも、遺産分割を行う権利は失われません。ただし、「遺留分の請求」や「特別受益」などの特定の手続きには期限や時効が設けられているため、注意が必要です。
※ 遺留分・・・法定相続人(兄弟姉妹を除く)に最低限保証される遺産の部分。
相続開始から10年で請求権は消滅します。
※ 特別受益・・・被相続人から相続人が生前に受けた特別な利益。例えば、親から兄弟の一人だけが生前に贈与を受けた場合、遺産分割において公平を保つために特別受益も加算されます。この主張も相続開始から10年でできなくなります。
3.分割を行わない場合の影響
遺産分割が行われない場合、特に不動産などの財産利用に困難が生じます。例えば、売却や賃貸が難しくなることがあります。さらに、次の相続が発生した場合、問題はより複雑化する可能性があります。
4.2024年4月からの相続登記義務化
重要なお知らせとして、2024年4月から、相続によって取得した不動産の登記が義務化されます。過去に相続した未登記の不動産も対象です。知らないうちに罰金が課される可能性もあるため、特に注意が必要です。
5.まとめ
遺産分割は迅速かつ慎重に進めることが推奨されます。特に不動産を所有している場合、相続登記が義務化されることに注意してください。ご不明点があれば、いつでもご相談ください。