「取得費加算の特例」は、相続した財産を売却した際に課税される譲渡所得税が軽減できる制度です。
詳細なルールは複雑なため、ここでは簡便に要点を説明します。
①適用要件
・相続や遺贈で取得した財産であること
・相続税を納付していること
・相続開始から3年10か月以内に売却すること
②計算式(例:Aさん適用希望)
取得費に加算できる相続税額 = Aさんの相続税額 ×(Aさんの譲渡財産(※)の相続税評価額 ÷ Aさんが取得した財産の価額)
※譲渡財産 = Aさんが取得した財産の中の、譲渡対象の財産
譲渡所得 = 譲渡財産の売却価格 -(譲渡財産の取得費 + 譲渡費用 +【取得費に加算できる相続税額】)
※取得費に該当の相続税額加算により、課税対象となる譲渡所得が軽減される。
③計算例(土地の売却)
● 土地の相続税評価額:6,000万円
● 取得した財産の価額:1億円
● 相続税納付額:2,300万円
● 土地の売却価格:7,500万円 ※譲渡費用無し
● 土地の取得費:5,000万円
<計算>
取得費に加算できる相続税額:2,300万円 ×(6,000万円 ÷ 1億円)= 1,380万円
譲渡所得:7,500万円 -(5,000万円 + 1,380万円)= 1,120万円
譲渡所得税:1,120万円 × 20.315% = 約227万円
※取得費加算無しの譲渡所得税:(7,500万円 – 5,000万円)× 20.315% = 約507万円
節税効果:507万円 – 227万円 = 約280万円
④まとめ
取得費加算の特例を利用することで、金額によっては譲渡所得税の負担を大幅に抑えられる可能性があります。ただし、適用要件や計算が複雑なので、ご不明点やご相談はぜひ弊所までお問い合わせください。