平成最後の税制改正大綱が昨年末に発表されました。
税制改正は発表から施行まで時間的余裕がない法案もあります。
今回は、税制改正大綱から皆様の財産に関わるもののうち重要な2つについて解説してみたいと思います。
まずは、小規模宅地等の特例に関する改正のうち事業用宅地に関する適用要件が厳しくなりました。
相続開始の直前に被相続人の事業用宅地として使っていた土地については一定の要件を満たすことで、400㎡まで80%の評価減が認められていました。
この要件が2019年4月1以後の相続から、相続開始前3年以内に事業用宅地に供されたものについては、特例の対象から除外されることになりました。
しかし、事業用宅地の上にある減価償却資産の価額が当該宅地の相続税評価額の15%以上であればこれまで通りの適用となります。
この特例を使う為に簡易的に事業所を移転させるような事例があり、立法趣旨に反する租税回避を防止することが狙いです。
次に、空き家の譲渡所得に係る3,000万円控除の要件が2019年4月1日以後の譲渡から緩和されます。
この規定は、被相続人が生前に居住用として一人で使用していた不動産で、一定の要件を満たすものを相続開始日以後3年を経過する日の年末までに相続人が売却した場合に、売却による利益から3,000万円までの控除が認められます。
改正の背景としては、自宅はあるものの老人ホームで最後を迎える方が多く、老人ホームに入居していた場合には適用できず売却するにあたっての弊害となっていました。
このような実情に照らして、被相続人が要介護認定を受けるなど一定の要件を満たしていれば、老人ホームに入所していても空き家の3,000万円控除が受けられることになります。
周辺の生活環境に悪影響を与える空き家は全国に広がっており、その大部分が旧耐震基準(昭和56年5月31日以前の耐震基準)によるものであり、耐震性に問題があります。
このような実情からも空き家譲渡による不動産の流動化が急務となっています。
特例を受けるには一定の要件を満たし、必要書類を整える必要があります。
これから平成最後の確定申告シーズン本番ですので税制改正で損をしないように来年に向けた準備を進めてみてはいかがでしょうか。