近年、相続人の方からご自身が相続された財産の一部を被相続人が生前にお世話になったところへ寄付をしたいという問合せが増えています。
具体的には、
①生前の勤務先
②寺社
③母校
④生まれ育った地方自治体
⑤公益法人
などです。
寄付をした財産については相続税を軽減してほしいというのが人情ですが、①及び②については税額の軽減対象とはならず、③~⑤については相続税の申告期限までに寄付が完了し申告書に書類を添付して税務署へ提出すれば、相続税が非課税となります。
そこで、相続税の非課税の適用を受ける場合の注意事項を整理します。
まず、相続税の申告期限内に寄付を済ませることです。
実は、寄付と言っても財産内容によっては寄付を拒まれる場合があります。
例えば、相続した山林の処分の目処が立たず、維持することが困難なので、寄付をして手放したいという場合です。
寄付を受けた側も、その財産を維持管理するコストが生じますので、受ける側の都合がつかなければ拒まれてしまいます。
そのため、処分が困難な寄付は期限内に手続きが完了できないことがほとんどです。
次に、相続税の申告書に措置法70条特例の適用を受ける旨を記載して、書類を添付する必要があります。
添付する書類には、寄付を受けた旨、年月日、財産明細、措置法70条に該当する旨などが記載されていなければなりません。
事前に所定の書類を発行してもらえるかの確認が必要です。
また、相続財産を寄付した場合には、相続税以外の税金が発生する場合があります。
財産を取得した相続人から法人に寄付をする場合で、寄付をした財産が不動産、株式等であれば相続人に譲渡所得税がかかる場合があります。
一方、個人に寄付をする場合には全ての財産を対象に110万円を超える部分について、寄付を受けた個人に贈与税がかかります。
譲渡所得税、贈与税ともに寄付をする側、される側の税務上の取扱いに注意をしないと、思わぬ税金がかかることになります。
今後、相続財産の寄付を検討される場合は相続専門チームへ是非ご相談下さいませ。