令和2年度税制改正の主な改正項目のポイントを整理してみます。
Ⅰ 個人課税関係
1 低未利用土地等を譲渡した場合の特別控除制度の創設
個人が都市計画区域内にある空地等を譲渡した場合に、譲渡対価が500万円以下で、5年を超えて所有しているものについては、譲渡所得から100万円の特別控除が認められます。
Ⅱ 資産課税関係
1 国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例の創設
国外中古建物から生ずる不動産所得を有する場合において、その年分の不動産所得の金額の計算上、国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす特例が創設されます。
Ⅲ 法人課税関係
1 企業版ふるさと納税の拡充
地方を活性化するため、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)を5年間延長するとともに、税額控除割合が3割から6割に拡充されます。
2 少額減価償却資産の特例の見直し
少額減価償却資産(取得価額30万円未満) の損金算入制度について、次の見直しを行った上、適用期限が2年延長されます。
① 対象法人から連結法人を除外する。
② 対象法人の要件のうち常時使用する従業員数の要件を1,000人以下から500人以下に引き下げる。
Ⅳ 消費課税関係
1 法人に係る消費税の申告期限の特例の創設
法人税の確定申告書の提出期限延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、消費税の確定申告書の提出期限が1カ月延長されます。
2 居住用賃貸建物の取得に係る消費税の仕入税額控除制度の見直し
居住用賃貸建物の課税仕入れについて、仕入税額控除の適用を認めないこととされます。なお、居住用賃貸建物のうち、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については当該控除の対象とすることができます。
この改正は、令和2年10月1日以後に仕入れを行った居住用賃貸建物に適用されます。 ただし、令和2年3月31日までに締結した契約に基づき仕入れを行った居住用賃貸建物には適用されません。